この時期になると「]
ウメいちりん いちりん程の あたたかさ」と言われるように、ほんの少し寒さの中にも小さな暖かさを感ずる。そしてそれは春の予感を感じさせるのである。昔聞いた造園用語「袖ケ香(そでがか)というのがあり、随分の長い間、ネットや造園関係の書籍で調べたがなかなか見つからなかった、このページを作成する直前、偶然にある造園事典で見つけた。なかなか含蓄のある言葉なのでここに記載させていただく。
手水鉢の上に梅の木の枝がかかるようにして、雨などがつたわって、手水鉢の中に落ちるようにしたもので袖ケ香という。私は和歌山県の田舎で金魚を自然石の手水鉢(ちょうずばち)で飼育し、すぐに死なせてしまった経験があるので、梅の殺菌もかなり効果があったのだろう。梅は長い冬を耐え、まだ寒さの中にあって花を咲かし落ち着いた香で凛としている姿は自分の生き方に合っていて好きだ。
小さな茶室から続く、自然を重視したささやかな庭、そこにはポンポンと踏み石並び、木道のようになった(低い ウッドデッキ )があり、その間には忘れな草やスノーボールなど愛らしい草花がある。そして端にはクロモジがそっと枝をのばしている。春にはクロモジの黄色い花が静かに咲く。
裸の枝を冬空にふるわせていた背の高いコブシの木に鮮やかな白い花が咲いている。その花びらが散り始め、 ウッドデッキ の上にもひらひらと風に吹かれ落ちてくる様子は、春のひとときをほっとさせてくれる。
そろそろ3月に入ろうか、という頃になっても北からの風はまだ冷たく、春もまだ足踏みしているようだ。しかしそうした中でも春の予感があるのは、毎朝の通勤途中のトサミズキが黄色い花を見ることが出来るからである。