サンシュ 山茱萸
ミズキ科ミズキ属
落葉高木
別名:
英名: 
中国名: 
原産地:
元々は中剛と朝鮮半島原産であり、日本へは宰保七年(1722年)に薬用として渡来したといわれる。今では、薬用としてよりも花木として植栽されることが多く、生長すると高さ4m程度に育つ。樹皮は褐色で剥がれやすく、冬目は賛嘆がとがっている。葉は4〜10cmの楕円形で、裏側に毛が生えている。早春に黄色い花を、葉に先立って咲かせる。
この時期に、咲く花が少ないため庭木としては重宝される。秋には1.4cm程度の楕円形の果実をつける。秋が深まるにつれて紅く熟してくる。実の中には堅い核があり、渋い酸味がする。
実を乾燥させたものを漢方として利用でき、熟した実は果実酒にすることができる。果実酒は疲労回復、強壮によく効く。
手入れとしては単幹、または双幹となり、枝はやや斜め横に広がる。混みすぎの枝抜き、間引き剪定のほか、長枝やひこばえは枝基から切取って樹形を整える。
庭木としてはやや野趣が強く、樹形もザクロに似てゴツゴツとした無骨さが目立つので、他の樹木や庭の雰囲気との調和を考慮して植栽する必要があろう。松などを主体とした庭や、雑木の繊細な庭よりも、芝生の広がりのある芝や、郊外の野趣を感じさせる庭にはことに合う。早春に咲く花は、春の訪れを告げる花の一つとして、活け花や茶花に使われることも多く、繊細な印象を持っている。+
サンケイ新聞掲載の植物画家 柿原申人さんの草木スケッチ帳に【サンシュユのエツセイがあつた。
 『 』奈良・室生の谷への峠を越えたら、黄色いサンシュユの花が目に飛び込んできた。
 「山だから遅いの?」 観察会のメンバーから質問が出た。こんな質問が出るのは切り花が正月から売られているためである。
 春咲く花の花芽は前年の夏にはできている。その後休眠に入り、一定期間低温が続くと休眠が破れ、それ以後は一定の温度を超えると開花する。 サンシュユの場合は十二月初旬には、ほぼ休眠がとける。そこで温度を与えれば開花する。一方、暖かい部屋に生けても開かない花は、まだ休眠中だからである。
 ところでサンシュユといえば、「稗(ひえ)つき節」の「庭のサンシュウの木」を思いだす人も多いはず。でもじつはこれはサンショウ(山椒)だそうだ。サンシュユは中国、朝鮮半島の原産で、日本への渡来が新しく、享保七年(一七二二年)とはっきりわかっているからである。 なおサンシュユは中国の古文献に出てくる「山茱萸」の音読みだが、これは日本で誤ってつけたものとされていた。ところが清代末期の『植物名実図考』には「山茱萸」の名が使われ、現代の『中国高等植物図鑑』でも使われている。
 ミズキ属の落葉高木。葉は対生、側脈の分岐部に髪の色で言えばブルネットの刺毛(しもう)がある。同属のヤマボウシ、ミズキ、ハナミズキなどと葉はよく似るが、この刺毛はサンシュユだけの特徴である。
 この刺毛について、大阪北部の箕面に住む友人から近所の老人に聞いたといういたずら話を教わった。子供のころ、後ろからしのびよって、葉の裏をほっぺたになすりつけると、毛がささり、「かゆうてたまらんかった」そうだ。
 それを観察会で紹介したら、だれも実験しようとはしない。そこで「子供の柔肌やから、かぶれるんや」と憎まれ口を叩いたら、ひんしゅくをかった。 昨年、この連載を点字訳したいという電話が二件あった。うち一人から「目の不自由な人が花に親しむいいアイデアはありませんか?」という質問を受けた。 そのとき紹介したのが葉の「おさわり」体験。その中にサンシュユの葉も含めておいた。これも刺毛の生える流れに逆らわなければ、あまり刺さらない。自然はただ優しいだけではないということも知ってほしかったから。それに痛みを人は忘れない。 』
 






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