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モッコク 木糾

静かな住宅街に庭師のハサミの音が響く。年の瀬の慌ただしさの中で、そのリズムはどこか穏やかで心を落ち着かせるものがある。モッコクは、そんな日本の伝統的な風景の一部として、長く愛されてきた樹木のひとつである。
日本をはじめ、台湾や中国、インドにまで広く分布するモッコクは、葉が厚く滑らかで光沢があり、一年を通じて緑を保つ常緑高木だ。夏には控えめな白い花を下向きに咲かせ、秋には小さな赤い実をつける。この実はシジュウカラやヒヨドリなどの野鳥たちにとって貴重な食料となる。
モッコクの木材は硬く粘りがあり、切削や加工は容易ではないが、耐久性に優れ、特にシロアリに強い。そのため、昔から床柱や家具、寄せ木細工などに用いられてきた。時間が経つにつれて木肌の色合いは深みを増し、磨くと美しい光沢を放つ。まるで長い年月を経て熟成されたようなその風合いは、和の空間に落ち着きと品格を添えてくれる。
庭木としても、モッコクは特別な存在感を持つ。マツと並び、日本庭園の主木として植えられることが多く、その端正な樹形と光沢のある濃緑の葉が、庭全体に重厚な雰囲気をもたらす。特に春の新芽は美しい紅色を呈し、季節の移ろいを静かに告げる。剪定においては、整形樹形の場合は小枝の葉を3~4枚残して強めに剪定し、自然樹形を生かす場合は込み合った枝を透かす程度にとどめるのがよい。
かつての東京の下町では、料亭の庭に植えられたモッコクの葉を、一枚一枚丁寧に雑巾で拭く習慣があったという。それは単なる掃除ではなく、手入れを通じて庭の美しさを保ち、風情を楽しむ心の表れだったのだろう。こうした職人の手仕事が、日本の庭の文化を支えてきたのだ。
しかし、モッコクも病害虫には注意が必要だ。炭そ病やハマキムシ、カイガラムシ、アブラムシなどが発生することがあり、適切な管理が求められる。それでも、しっかりと世話をすれば、長く美しい姿を保ち続けることができる。
温暖な気候を好み、適度に湿り気のある場所でよく育つモッコクは、ツガやヒノキ、コナラなどの樹木とともに混成林をつくることも多い。日本の庭や玄関先に植えられたモッコクは、その静かで落ち着いた佇まいで、訪れる人々を迎え入れる。四季折々に微妙な変化を見せるその姿は、日本の美意識と深く結びついているのかもしれない。

庭木、ガーデニングとして適当な大きさ

ウッドデッキと四季の樹木
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