ユズ 柚子
ミカン科ユウ属  
常緑小高木。
別名:ホンユ、ユノス、由 
中国名:柚  
英名:Yuzu
原産地:中国長江上流 落葉低木
 高さ6mにもなる。中国、揚子江上流が原産。『和名抄』には漢名柚、和名も由とあるので、六世紀以前に渡来と考えられている。中国、日本以外ではほとんど栽培されないが、日本では奈良時代から現代まで栽培されている。ミカン科ユウ属の同じ仲間には、酢橘(スダチ)、芳酢(カボス)、木酢(キズ)、花袖(ハナユ)、直七(ナオシチ)などがあり、よく似ている。
ユズはこの仲間の中で暑熱に弱いが、寒さには最も強いので、東北地方にまで栽培ができ、樹勢も強くて長命である。庭にも良く植えられる、庭木に一本あると、料理のみならず柚子湯に用いたり結構楽しめる。ユズという名前は果実に酢が含まれているいる事からの説が多く説得力あるが、すべて俗説で、正しくは中国語の読み、発音から日本語のユズになったのが本当だろう。
枝や幹に刺が多くある。そのため「柚子の木に逆立」、「裸で柚の木に登る」、などのことわざがあり、無鉄砲、向う見ずな人間、むちゃをすることのたとえに使われている。
5月ごろ、白または淡紫色の小さな五弁の花を開かせ、さわやかな香りが漂わせる。小さな実が、少しずつ大きくなってくるが、葉が光沢のある深みどりをしていて、その繁みに溶け込んで目立だたない。しかし、11月頃には艶やかな黄金色が緑の茂みの中に輝く。
実は表面がみかん等と比べてると粗くごつごつしていて滑らかではない。古くはオニタチバナとよばれたのもこの意味があるようだ。酸味が強くてそのままでは食べにくいが、 昔から日本料理には無くてはならない存在で、さまざまに利用される。最近ではジャムやマーマレード、菓子にも用いられる。ビタミンCが豊富でレモンやミカンに比べ3倍も含まれている。
昔はお風呂屋さんで冬至の日になると、大きな湯舟に柚子の実が沢山浮いていた。五月の菖浦湯とともに二大薬湯で、お風呂屋さんの、二大イベントだった。
冬至の日のユズ湯の風習は今も多くの家庭で見られる。また正月には床の間の餅の上にユズを置いたり、門飾りにユズを加えることもまだ日本の習慣である。ユズ湯はユズの皮を細かく刻み、布袋に詰めて浴槽に入れたり、果実を薄く輪切りにして浴湯料に用いたりする。精油が湯に溶け出し、肌を刺激し、血行をよくし、肩こり、腰痛、神経痛やリュウマチなどの痛みをやわらげる。また、補温にも役立つので、冷え症などにも効果的であり、さらに、肌をひきしめ、なめらかにする効果もある。
風邪の初期には、就寝前にユズの果実1個分の果汁をしぼり、砂糖などで甘味を加減し熱湯を注いで飲み、直に寝ると汗が出て熱が下がり、回復を早めるのに役立つ。
山口県阿武郡川上村には国の天然記念物の自生地がある。ここはカシの常緑広葉樹林が分布しているが、それらに混じって、あちこちにユズが生育し、場所によってはユズが高木層に混生している。ただ、ユズの樹齢が70年くらいになると枝先から枯死して、100年以上育つものはない。



ユズの実
 

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