防塵、防火、防風のための木


■ 知っておきたい、樹木のこんな使い方




防塵、防火、防風、防音などの機能を果たすには、@常緑樹、A枝葉がち密、B都市公害に強い、C刈込などの維持管理が容易、などの条件が必要です。 さらに防風には根が強く、しっかり張り、幹や枝が折れにくいこと。防火には、燃えにくいことなど。防音効果については、樹木だけではほとんど期待できないので(心理効果がある)、塀などの構造物との併用が必要です。


モチノキ


キョウチクトウ
日かげに育つ


■日かげを好む木と日かげでも育つ木




樹木は葉で光合成をおこなって成長していますから、陽光は欠くことのできない条件ですが、樹木のなかには日かげでも生育できるものがあります。
 @ほんらい日かげを好むが、日なたでも生育できる樹木(好陰樹・・・ふつうは弱い日かげ地を好み、強い日かげ地でも耐えるものが多い。)
 Aほんらい日なたを好むが、日かげでも生育できる樹木(耐陰樹・・・ふつうは弱い日かげ地に耐えられても、強い日かげ地には耐えられない。)
 実際に植えようとする木が、どちらなのかをハッキリと区別することは困難ですが、庭木を植えるためのおおよその区別はありま
す。 たとえば、高い建物や壁などの北側で、直射光も反射光も入らない場所には好陰樹を植えます。反射光などが入る場所なら、好陰光、耐陰樹いずれの樹種でも生長しますから庭木を楽しむことができます。なお、生垣づくりでは特にこれらの日照条件が重要です。これをおこたると失敗しますので、P6〜8の索引を参考にして樹種選びをしてください。


アオキ

サザンカ
乾燥に強い木


■まず、庭の状態を見きわめることがポイント




乾燥した土地では、一般の樹木は満足な生育を示しませんが、乾燥に耐える樹木もあります。そうした樹木を選ぶとともに、乾燥地の土壌改良をすれば、管理が楽になります。
・サラサラした乾燥地・・・有機質の堆肥を十分与え、深さ50cm位までよくすき込む。
・砂の多い土地・・・わらや落葉を土中にしき込む。
そのほか、地表を地被植物でおおうのも水分保持に役立ちます。


シモツケ
湿地に強い木


■まず、排水をよくすることが必要




 水の中に根を張って生育することのできる樹木でも、水が停滞し、腐ってしまった水では生育できません。
 湿った土地では水湿地を好んで生育する樹木を選んで植栽するほか、低湿地で水が停滞するような場所では、根腐れ、生育障害を避けるため、地表の水は側溝で、地下水は暗渠で排水することが望ましい。粘土などで水はけの悪い土の場合は、砂や無機質の土壌改良材をまぜたり、土盛りをして高目に植えることなどが必要です。


コブシ


やせた土地でも育つ木


■土壌改良が最良の方法




臨海埋立地や丘陵造成地など、植物の生育に適した表土のほとんどない土地(やせた土地)の植栽には、土壌改良が最良です。それとともに、やせ地に耐える植物ややせ地を豊かに変える植物を選んで植栽することも大切です。 造成による土地は、単に表土がないというだけでなく、造成時の物理的・化学的な問題などで、植物生育に不適な状態になっている場合が多く、良質な表土を購入して表面に敷くだけでは解決されない事が多くあります。 そのため、@植栽用地をほり返し、固まった土をやわらかくするA無機質・有機質土壌改良材(野菜くず、腐葉土などでもよい)などをまぜ合わせ、必要に応じ排水施設をつくるなどの方法をとり、土壌改良をすることが長期的に見て、植物に良い結果を
もたらします。


ハナズオウ

海辺の土地に強い木


■潮風や飛砂から樹木を守る方法を




海辺では、恒風(毎年同じ季節に同じ方向から吹く風)や地形・地物の違いにより、潮風や飛砂の被害に大きな差ができますが、まず第一に耐潮性の強い樹種を選ぶことが大切です。しかし潮風害の大きい地帯では、樹木だけでは防げない場合もあって、塀や防風ネットを設ける必要があるでしょう。その次にもっとも耐潮性の強い樹種を生垣上に植え、続いてやや弱い樹種を植え込みます。潮風に弱い樹種は、強い樹木のかげ、壁や建物の後方に植えます。
 雨を伴わない海からの強風や、風台風が訪れた時は、風が静まるのを待って樹木に散水し、枝や葉についた塩分を洗い流すことで塩害から守ります。その海辺の風土に適したものを知るためには、付近に自生する樹木や植栽樹種を調べて参考にすることも良い方法です。

 

タブノキ


シュロ

排気ガスに耐える木


■交通量の多い土地でも樹木が楽しめる




自動車の交通量の多い道路や、坂道の下の排気ガスのたまりやすい所の周辺では、路面からの砂やほこりが排気ガスのタール分などによって樹木に付着します。そのため、葉などがまっくろになっていることがあります。また一酸化炭素や窒素酸化物などの被害を受けている場合もあります。
 このような、樹木にとって非常にきびしい生育環境に植栽をする場合は、排気ガスに耐える樹木を選ばなければなりません。しかし、どんな強い種類を選んでも、良好な生育は望めないので、少しでも日当たり、空気、土壌などの環境条件を良くすることが必要になります。
 植え込み条件としては、十分な施肥、早め早めの病虫害防除、適切な剪定・整姿、そして幹や葉を水で洗い流すなど、こまめな手入れが不可欠です。
 

ユズリハ

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