ウッドデッキ と四季の樹木

■ 樹から木までの知識  ■ 

ウッドデッキ と四季の樹木

太陽エネルギーの貯蔵庫は木

太陽から地球に降り注ぐエネルギーの量は大昔から変わりませんが、地殻におけるエネルギー収集は何回かの氷期で示されるように変動してきました。産業革命以後、化石燃料の消費にともなって大気中の炭酸ガス濃度が上昇を続け、現在の地球は温暖化に向かい。地球温暖化がもたらすことは、砂漠化、海水レベルの上昇などであり、これは人類生存の危機といえるでしょう。大気中の炭酸ガスの固定は一部は海水などへの溶解によって行われていますが、大部分は光合成による植物体への転換なされていおり。大気中の酸素のほとんどが光合成によってつくられているのです。自然界において、木材は他の植動物に比べ腐りにくく、エネルギー値が高いため、すぐれた太陽エネルギーの貯蔵庫なのです。地球環境保全の観点からみれば、このエネルギーを貯蔵したまま木材を使うことが大切です。木材が分解して太陽エネルギーを放出しないようにする技術、いわゆる防腐、難燃化、耐候化などの技術は地球環境保全を考えてもとても重要といえるのです。

目的にあった良い木材

「目的にあった良い木材を生産しよう」という、歴史は豊臣時代にさかのぼり、豊臣時代から江戸時代には都市が栄え、城、茶町、屋敷などに多くの木材が使われました。この当時、天然の良木が全国的に有名になり、次第にに銘柄材として認とめられるようになりました。例をいえば、秋田杉、木曽桧などであり、どの銘柄材もすべて天然でしたが、大径の天然木が育つのには時間がかかるため、いくつかの地域では銘柄を維持し、また特殊用途に合った材を得るために人の手を加えた生産が開始されました。銘柄材の生産は、江戸時代から本格的に行われ、吉野杉や北山杉などが有名です。木はある程度手を加えることによって、材質を変えることができ、同じ材をコンスタントに生産することが可能なのです。手入れの代表的なものは、間伐と枝打ちです。また、造林木では、通常初期の成長量が大きいので密植して成長を抑えます。木にとって日照量が多いほど良いのは当然のことですが、良すぎてあまりに太りすぎると年齢の幅が広くなり、狂いが大きく弱い木材になることがあるからです。また、枝は老齢の大径木では自然に枯れあがるのですが、枝打ちを早くから行えば、中小径木でも製材したときに材面が無節の美しい材を生産することが可能です。

ふたつの森林

森林には2つの種類があります。まずひとつは、「天然林」で、人の手がほとんどかけていない自然の森林をいいます。つまり、母樹から地表へ種子が落下・着床した後、発芽・生長してできる森林のことです。もうひとつは、「人工林」で、母樹から採取した種子を苗畑に播き、2〜5年育てた苗木を山に植えかえ、人の手をかけてつくりあげる森林をいいます。共に主として、建築用木材を目的とした生産・管理がなされていますが、人工林の方は高い生産性を求めて集約的に作られているので、思いどおりの木材が入手可能。人工林育成の場として、天然の雑木林などを伐採した跡地に数年間育てた養苗の苗木を植えて作る事が一例に挙げられます。植林したあとは、下刈り・枝打ち・除伐・間伐、その他様々な撫育(ぶいく)管理をし、こうした木が成長して、伐採(収穫)できるまでに、針葉樹(マツ、スギ、ヒノキ等)では、35〜60年。北海道のドドマツ、エゾマツは70〜100年ぐらいかかります。広葉樹の場合は、針葉樹の約2倍以上かかります。「植木は親、子、孫の三代の仕事だ」といわれますが、常に次世代、そのまた次の時代のことを考えていなくてはならないということです。また、このような伐採跡地などに同じ樹種を一度に植林することを「一斉(いっせい)造林」といいます。この一斉造林は、長所として、経済性・効率性の追求があります。短所としては、伐採時に一斉造林の木を全部切ると、効率はよくても、一度に大部分の面積が丸裸になるため土壌の肥料分流出、あるいは急激な変化による土壌悪化ということが発生します。これによって森林の大事な働きである水源涵養機能や土砂崩れ防止機能なども失われてしまいます。もちろん山の景観も台無しになってしまいます。そこで、国有林では、一度に伐採する面積を小さくしたり、成長した材木から抜き伐りする(択伐)方法など、いろいろ工夫をこらしています。一方、天然林といえば、山などに自然に生えた幼稚樹がほとんど人の手に掛かることなく、森林になっていくわけですが、収穫できるようになるまで杉や桧のような針葉樹で普通200〜300年はかかります。北海道の天然の広葉樹の場合などは、300〜400年です。また、これらをそのまま伐らないでおいたら、いずれ老齢過熟木となって倒木し、次代の森林と入れ替わっていきます『森のサイクル』。天然林の種子から倒木までのサイクル年数は針葉樹の杉・桧で300〜400年(例外:秋田杉・屋久杉は、もっと長い)、欅・楠などの広葉樹は500年前後くらいです。

伐採された木の行へ

木は山で伐採されると、山土場(やまとば:伐採したきをいったん集積して、素材にする場所)まて゜トラクターで引っ張って運ばれます。2−3本をまとめて、元口を持ち上げた格好でズルズル引いていきます。枝を払って運ぶ「全幹集材」と、葉も枝もつけたままの「全木集材」との2つのやり方がありますが、最近は全幹集材がほとんどです。この山土場では、木を玉切り(決まった長さに輪切りにすること)し集積しておき、それを業者が見て、品定めはこの後運ばれる市場土場でも行われます。国有林のばあいは市場がないため、この山土場で行われ、販売(入札)もされます。山土場からは、いったん中間土場を経由する場合もありますが、大方は直接、市場土場へ運ばれます。市場土場は、民有林の最終集積所ならびに現物販売所です。市場の一角に入札所があり販売されますが、販売方法は入札か勢呼販売で、いまはほとんどが入札となっています。買い手が決まると、製材工場へとトラックで輸送されます。もちろん汽車や船を使う場合もありますが、北海道のナラ、タモ、センなどを九州に運ぶような場合、トレーラーごと船に積んで運んだりもします。製材工場では乾燥させ、一般材国内規準にあわせて角材や板材にし、輸出用材は相手国の規準に合わせ、インチ(1インチ=2・54センチ)を単位にして製材します。ちなみに輸出用材のことをインチ材ともいいます。

クリとクヌギ類は古代人の人気の木

日本人は、縄文時代にはすでに樹木それぞれの特性を知り、森に分け行っては目的の樹木を求め、盛んに利用してきました。しかし時代を経るにしたがって、鉄器の導入や農耕の開始などを背景に、用いる樹木の種類にはかなりの変化があります。杭・割材・建築材などでは、縄文時代にはクリの使用が多いのに対し、古墳時代以降ではクヌギ類がそれに置き換わります。ほかの広葉樹は少なく、縄文時代〜古墳時代をとおして、ナラ類やカシ類、ヤマグワ、トネリコ属が所によって適宣用いられています。丸木弓は縄文・古墳時代あわせて2例しか報告がありませんが、いずれもイヌガヤが限定的に用いられています。出土した自然木は、遺跡周辺の当時の森林植生を反映していると考えられ、このなかには、用材とはならないヤナギ属やハンノキ類のほか、縄文時代ではクリとトリネコ属、古墳時代ではクリ、クヌギ類、ヤマグワが、また古代ではクリとクヌギ類などがみられます。クリ及びクリ類はほぼどの時代にも、遺跡周辺に普通に生育していましたが、杭・割材・建築材などをみると、時代ごとの用材はいずれかに限られています。特に縄文時代から古墳時代以降にかけての変化は明瞭ですが、その背景には石器から鉄器へという道具の変化が第一にあって、そのほかにも樹種の好みや食料生産がといった文化的な背景もあったと思われます。

高価な木も安価な木もヒノキ

一般に桧は高級材とおもいがちですが、土木、造園業界では安物の木というのが常識なのです。例えば住宅建築土地の測量等するときの先をとがらした丸太がヒノキとスギです。公園や道路の樹木を支えている木や横に支えている木もヒノキとスギです。この直径が5−10センチぐらいの木がいま問題になってきている間伐材なのです。柱などにつかわれる一人前のヒノキになるためにはその山で間引きをしななければなりません。しかし、人手不足、不採算などの理由で間引きがやりにくくなっているのです。おおげさに言えば山では測量杭のような材料は価格は0円で最終ユーザーに渡るときの価格は運賃の費用だけということになります。そりやそうでしょう先をとがらせる加工をして1本150円(長さ1M直径7センチ)ぐらいのものですから。

古くなるほど強くなる木

ずばぬけて強くなるのは「ヒノキ」です。木から伐採して柱などの最終製品になってから300年間は強度が向上。そして約1000年たった時がその木を切った時と同じ強度になります。木材は他のものでもこのような性質をもっていますが、ヒノキだけがズバ抜けています。法隆寺が1400年以上経てもなんらのかわりもなく存在しているのは当時の人の適切な設計と高度な建築技術、そして現在までの継続的な維持管理と修復があるのは多くの人が認めることです。しかしヒノキではなく他の樹種を利用していたらこのように長く持たなかったと思います。また単なる強度だけでなく生きる続けているのです。柱やタルキ等は風雨にさらされて灰色にくすみ、いくらか朽ちているように見えますが、表層をカンナで1−2回削ると、まつたくいま製材されたままのヒノキで少し臭いは落ちますがまぎれもないヒノキ独特の香が漂ってきます。

屋外で使うことが可能な木材

ウッドデッキ カーポートデッキ、屋外施設用として ウエスタンレッドシダー、イースタンホワイトシダー、レッドウッド、ウリン、ジャラ、セランガンバツ、イペ、ジャトバ、CCA防腐処理材、国産の桧など。反対に屋外で使うと腐りやすいと認識して使う木材は、杉・ラワン・米栂・SPF・バルサなどです。

割れと乾燥

日本では自然のままに乾燥させた木材の乾燥率は15%〜17%ぐらいの値になります。しかし現在のほとんどの家にはエアコンがついていますので、その中では木材は11%〜15%ぐらいになります。つまり100年じっくり乾かした木材でもエアコンの家へ入れるとそこからさらに乾燥して(木材は含水率が25%を切ると収縮しだします)ヤセます。これがうまく全体の寸法が収縮するようにやせれば良いのですが、真ん中からやせると、これが「割れる」と言うことになります。

木を乾燥させて使うのはどうしてか

実際に材木として使われた後、収縮によって造作上の狂いを生じさせないためです。木の重さは1立方メートル当たりで、針葉樹が600〜700kg、広葉樹なら800kg。重さの差は、木の組織の違いのほかに、その中にもっている水分の量によっても違います。ふつう針葉樹が40〜50%、広葉樹は50〜60%水分量があります。木は伐採されてから、半年から1年、あるいは2年、自然に乾燥します。15〜20%の標準含水率になって、日本の湿度からもうこれ以上は乾燥しないとなって使用するのです。ちなみに乾燥ぎみの欧米諸国では12%です。また自然乾燥だけではなく、いまは人工乾燥も盛ん行われています。

乾燥材

非常にはっきりしているのは乾燥材の方が明確に良いと言うことです。木は乾燥すれば強度は上りますし、狂わなくなりますし、当然割れることも少くなります。確かにヒノキチオールは乾燥途中で水分といっしょに出ていきますが、そんなことは未乾燥材を使う言訳けにしかなりません。それではなぜ乾燥材を使わないのかと言うことになりますが、現実に桧や杉は完全には乾燥できません。つまり現在使われている内地材はほとんど芯持ちですが、この芯の部分の赤身はなかなか乾燥しないのです。それでも人工乾燥して中の部分まで15%を切るようにすると、その前に周辺部が過乾燥になって、又、凄まじい狂いが出て、もはや家の柱としては使えない状態になってしまいます。故に実際には人工乾燥しても表層部を15%程度に人工乾燥するか、ある程度天然乾燥させて30%程度で使うかしか方法が残されていません。

芯持ち材

芯持ちは良いと99%の人は思っていますが、これも真実と嘘が入混じっています。まず日本では木材は植林によるものがほとんどです(ナラやブナのように戦前は見向きもされなかったものは今でも原生林がありますが)植林ということは木が大径木になる前に伐採してしまいますので必然的に1本の木から1本の柱しか取れません。芯をはずした木と言うのは狂いも少く良いのですが、価格は内地桧であれば凄まじい価格になります。また同じ材であれば芯持ちよりも芯去りの方が強度はあります。しかし芯持ちの良いところは木を断面から見れば分かりますが、芯に近い方が赤くなっていて周辺部が白くなっています。そして木が腐りにくいのはこの芯に近い赤みの部分です。周辺部白いところはすぐに腐ってしまいますし、白蟻は非常に好んで食べるのはこの辺材です。そう言う意味で言うと芯持ち材の方が芯の赤身の部分が多く腐りにくい部分が多いとは言えます。西岡常一さんがその著書「法隆寺を建てた木」で桧のことを絶賛して「百年たった木で家を建てれば百年持つ」と書いたばっかりに多くの方が誤解していますが、これは言葉どうりの意味では誤りです。真実なのはそれだけ成長した木は心材の部分が大きく赤身の部分ばかりで柱が取れるとしたら、これは非常に耐久性のある柱と言えるということです。

集成材

集成材の強度/集成材はムク材に比べ、構造的に理論上1.5倍(実際はもっと)の強度があります。これは一般の方にはなかなか理解できないのですが、つまり完璧な木材があれば、それは集成材より強度がありますが、実際は木と言うのは表に見えなくても、中には節等の欠点があり、力が加わるとその欠点に歪が集中して折れてしまいます。それに対して集成材は節が一杯あっても欠点を分散しているため、結果的に強度があります。
集成材の価格/集成材は人工乾燥させた20o〜25oの板を貼り合わせてありますので、狂いがなく価格的もムク材の5分の1程度です。(上記は化粧の集成材材の場合。構造用の集成材材とムク材の柱とは同じ価格帯です。)
集成材の欠点とムク材の良点/集成材の欠点は10年ぐらい経過した時にムク材であれば、木の油成分が少しずつ出て、木らしい風合いが出るのですが、集成材にはそれがありません。この点のみが集成材の欠点です。反対にムク材は自然の木らしい風合いが出てメンタルな面において人を和ませてくれます。
集成材利用の要因/現在は接着剤が進歩して接着層がはがれると言うこともまずなく、安さと割れやそりのクレームがないことです。
集成材の用途と規定/柱はJASの規定により1mm以上の単板を使っていますが、敷居や鴨居については定義がありませんので、0.2mm程度のちょっとこすれば単板がとれてしまうものを使ったものも流通しています。これらも物理的な性質は優れていますが、敷居等に使われた場合はすぐにすり減って中の地が見えてしまいます(フローリングも同じ程度の単板を使用していますが、この場合は上に塗ったウレタンの塗料が摩耗を防いでいます)

重い木は強いってホント

木材は、小さな細胞から構成されており、通常の状態では、これらの細胞壁内や細胞内部の空洞の中に水分を含んいる。木材の実質の重さに対する含有水分の重さの比率を「含水率」といい。木材が乾燥される、つまり含水率が低下するときは、まず細胞内部の空洞中の水分が抜け、なくなった後、細胞内の水分が抜ける。木材が水分で満たされているが、細胞内部の空洞には水分が存在しない状態の含有率を「繊維飽和点」といい、樹種によらずほぼ同じで、一般に約28%といわれている。また、日本のように温・湿度条件の下では、木材の含水率の影響を受け、繊維飽和点を境にして大きく変化します。木材の強度も、含水率が繊維飽和点以上では含水率にかかわらずほぼ一定ですが、繊維飽和点以下では含水率の低下に伴って増加します。よって、「重い=強い」と感じがちですが、木材は必ずしも「重い=強い」とはなりません。それどころか、乾燥され軽くなることによって強度は増加し、木材のすぐれた能力を発揮するのです。

どうして木は腐るのか

「ヒノキと言う木は耐久性がある」とか「国産材は日本の気候に一番合っている」「千年生きた木は千年持つ」とか木材については、特に耐久性については諸説あって、それぞれがある意味では正しいのですが、別の意味では全くの間違いと言うことも多々あります。「うちの田舎の家は杉だが、100年持っている」「日本古来の建築工法で国産材を使うと何百年でも持つ」「堤防の護岸工事に使った松の木は20年たっても腐っていない」「法隆寺は檜だから1000年以上も耐久性があるのだ」などよく言われますが、どの木材も腐朽菌が繁殖しなければ腐りません。菌が繁殖する条件は学術書などによれば、6つぐらいの条件があるのですが、簡単に実際的なことから言うと2つだけなのです。しかも or条件ではなくand条件(満足条件)なのです。水と酸素の2つが同時に存在することです。つまり、水か酸素のどちらかがなければ腐らないのです。法隆寺の柱が腐らないのは、水がかかってもすぐ下に流れ落ち、風通しの良いからです。しかし法隆寺の柱も最近流行のウォータフロントの ウッドデッキ に使用すると5年と持ちません。また、水の中につけられたり土のなかに埋められていると、酸素がないため木は腐りません。古代の修羅が原形のまま発掘されたり、1500年前の飛鳥のお寺の柱が出てくるのはこのためです。
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